SNSに寄せる期待
普段、あまり他のブログに関して意見述べてみたいとかはしないのですが、今回に関してはテーマがなかなか面白かったので、自分の意見をまとめられるといいな、という考えでエントリしてみます。
そのテーマとはこちら。
ブログブームよりもSNSブームが終了する :小林Scrap Book
http://blog.heartlogic.jp/archives/000589.html
最初に断っておくと、こちらのブログを読む限り、考えていることや視点は同じだと思うんですね。単に表現の違いというか、SNSをどう定義するかでちょっと自分とは結論が違っているだけだと思いますし、
「mixi」は「mixi」そのものであり、別段「SNS」というカテゴリ名を打ち出す必要はない
という点も非常に同感ではあります。
ブームの定義、そしてブログの定義に関しても同感で、本題のSNSとは異なるので割愛します。ここで考えたいのはSNSの定義。こちらのブログでは、SNSの定義を「自分でSNSと謳っているWebサービス」としています。つまりはmixiやGREE、livedoor フレンドパークに代表される「ソーシャルネットワーキングサイト」としてのSNSという定義です。
確かにmixiやGREEがSNSの形とするなら、ブームで終わっていく可能性もあるでしょう。ただ、私はSNSはもっと大きな枠でとらえてこそ魅力のある存在だと思います。
SNSの要件としてこのブログで語られている「マイページ」「友達とのつながり」の2点を元に考えてみた場合、確かにmixiやGREEはこの要件を満たしています。ただ、実際にはmixiもGREEも、サイトの中で動いているのは日記と掲示板が主であり、中で行なわれていることは今までの掲示板や日記、そして最近流行のブログと同じなんですよね。
SNSとは仕組みでありツールであって、mixiやGREEは単にSNSを使ったコミュニティサイト。今ではSNSの代表格といえばmixiになってしまっていますが、だからといってSNS=mixiではSNSの魅力や可能性が感じられないのも確かでしょう。
前述のSNSである要件を踏まえてもっと大きく考えてみます。マイページがあり、友達がつながる。友達の定義もいろいろかもしれませんが、システム的には「ソーシャルブックマーク」と呼ばれているサービスも十分にSNSの要件を満たしていますし、新しい情報収集のあり方として注目もされています。
国内では似たようなサービスがまだ出てきていませんが(あえていうならフォト蔵かな)、Flickrもマイページの写真を軸に友達が繋がっていくサービスです。ちょっと反則かもしれませんが、トラックバックでブログが繋がっていく「トラックバックピープル」も、要件だけなら満たしているでしょう。
さらにWebの世界を離れて考えると、「すれちがい通信」で話題を集めるnintendogs。これもソーシャルネットワークのコンセプトを満たしていると思います。ムチャクチャな意見に思えるかもしれませんが、実際にnintendogsをつかってすれ違い通信を体感した人ならわかってもらえるのではないでしょうか。つながりの部分に関しては「出会い系」にしたくないからか、nintendogsでは極力抑えられているとは思いますが、自分のnintendogsというポータルを介して、すれ違った飼い主がフレンドリストで繋がっていく様子は、本質的にはソーシャルネットワークと重なる部分が大きいと思います。
つまり、SNSをmixiやGREEのような、1つのサイトに集まった日記や掲示板の集合体と考えるのではなく、ソーシャルネットワークという仕組みの部分に注目すると非常に可能性があると思うのです。
繰り返しですが、mixiやGREEはソーシャルネットワークの仕組みに日記や掲示板が載っているだけ。ソーシャルネットワークは道具であって、mixiとGREEはその使い方の一例。今は使い方の1つがあまりにも盛り上がっているだけであって、むしろもっと別の使い方に期待したいのです。それはつまり、こちらのブログの
「SNSのいいところを持った、別のサービスが生まれてもいい」という点に重なってくる
という点で、表現は違えど期待している方向はいっしょだな、と感じるのでした。
また、mixiやGREEのようなSNSとしての形でも、まだまだ可能性はあるとも思います。このブログでは途中で医療関係のSNSについて触れていますが、私はこういうカテゴリ特化のSNSがもっとあって良いと思います。
指摘されているように、mixiと同質のSNSならもう必要ないとは思います。しかしmixiは単に友達とのつながる場であって、目的を持って集まる場所にはなっていません。医療だけでなく、1つの目的を持って人が集まり、その集団に対して最適な機能を提供するような仕組みは、mixiだけでは難しいと思います。
医療はちょっとなじみがないので具体的な例は考えつかないですが、すごく身近な例で言えば、大学や高校の友達とだけで立ち上げられるSNSがあったらすごく便利。友達に「mixiに入ってよ」といって入ってもらうのは大変ですが、自分でサイトを作って、そこに参加してもらうなら敷居も低いし、メーリングリスト感覚で運営できるのでは。自分がメーリングリストやってて思うんですが、メールはころころかわるから途中で途切れることも多いんですよね。SNSの仕組みなら、メールアドレスが変わっても使ってもらえさえすれば大丈夫。メールアドレス登録しなおさなきゃ意味ないという意見もありましょうが、すくなくともメーリングリストだけの関係よりはよっぽど交流を持続できるかなぁと楽観的に感じている次第です。
他にもヤマハの「プレイヤーズ王国」のように音楽を目指す人たちの集まりもあります。それもmixiでできることではありますが、作った楽曲の発表の場があったり、それに対するレスポンスの場があったりと、より専門的なカスタマイズがされています。レコミュニも少々理想が高すぎましたが、SNSの仕組みとしては面白いですし、あと数年たったらレコミュニのような仕組みが現実味を帯びる可能性もあるやもしれません。
SNS=招待制、SNS=mixiみたいな印象があるうちは、SNSという言葉は確かにデメリットになるかもしれませんが、本質的なSNSという可能性には期待したい。私としてはブログもSNSもコモデティ化していくと思いますし、ブログはXML、そして擬似プッシュ配信(※論文対策)としてのRSSのような標準化された機能がインフラ的に広がっていくのに対して、SNSは人との繋がりというツールとして広まっていくのかな、むしろ広まっていって欲しいと思う次第です。
あと最後に以下の部分、
ブログというのは端的にいって1ユーザーが自己完結できるものであり、自分が自分にとって価値のあるものだと思っている間は、ずっと使い続けられていく。対してSNSはコミュニケーションに価値のあるサービスなので、コミュニケーションする相手がいないとその意義はほとんど無くなる。本人がアツくても、仲のいい友達に「mixiやめるブーム」が来たら、連動して急速にクールダウンしてしまう可能性がある。
逆にブログは1人でやってるから自分が冷めたら終わりで、mixiは友達が盛り上がっているから続けられる、という考えもあるかなと思いました。
何にせよ、SNS=mixiなのはつまらないのでもっと面白いSNSの使い方がでてきてほしいところ。
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